さて、タミヤ TT-01の自作スライドラックの改良である。

まずはスライドラックの話の前に、先日のメカ類を後方に寄せてその上にバッテリを配置したレイアウトで、実際に走らせてみるとスピンしてばかりでまるでダメだった件について、その続きを少し書いておく。
先日の試走のあと、多少メカ類の配置を変えたくらいでなぜにあそこまで走らなくなったのか自分なりにいろいろと考えていたのだが、なんとなくその理由っぽい物がわかってきた。あのレイアウトの狙いはそもそも重量バランスを少し後ろ寄りにすることだったのだが、そのためにバッテリの搭載位置を高くしたことが、結果として敗因になったのではないかと考えている。
全然ダメだったメカ類のリア配置

つまりどういうことかというと、
 バッテリを高い位置に置く
  ↓
 重心が上がる
  ↓
 ロールが増える
  ↓
 コーナリング中のタイヤの接地面が変わる
という流れで、おそらくロールした瞬間にタイヤの接地面積がかなり少ない状態になり、さらに重量バランスがリア寄りになっているため、全く踏ん張ることができずにあっというまにスピン、という状態だったのだと思われる。
実際にTT-01のリアサスペンションをよく見てみると、上下アームがほぼ平行、かつ、長さも同じくらいであり、このジオメトリでは、左右同時にストロークした時(ピッチング)はキャンバー変化はほとんど発生しない。一方、ロールした場合は外輪のキャンバーが減少し、内輪側は逆に増加する。このため、この状態でタイヤの接地面積が減る方向に行ってしまうとスピンモードに突入するわけである。
TT-01のリアサス

ではどうやって対策すればいいかというと、手としては
 ①スプリングを硬くしてロールを減らす
 ②ロールした時にタイヤが狙いの接地状態になるよう初期キャンバーを調整する
 ③ロールしてもキャンバーが変化しないジオメトリに変更する
くらいだと思う。手っ取り早く対応するには①か②だが、自分としてはできれば③を試してみたいところである。
③は具体的には、アッパーアームのハブ側の取り付け位置を高くし(いわゆるハイアッパー)、さらにその位置をシャシー側に寄せることでアーム長を短くすればいいはずである。工作としては、ブラケットを1個作ってアッパーアームの取り付け位置をずらすだけなので、それほど難しくはないと思われる。まぁとはいっても、既にレイアウトを元に戻してしまったこともあり、今のところはこの辺の改造はまた追々かなと思っている。。。

さて、冒頭の別の話がすっかり長くなってしまったが、本題のスライドラックである。
現状の自作スライドラックは若干ハの字にしている程度で、本来ならばもう少し角度を増やしてやりたいのだが、現在の構造ではそれがなかなか難しい。というのも、2本のアルミアングルを左右で締め付けている長いネジがタイロッドを連結する腕を兼ねており、ハの字の角度を増やすとその腕が左右に広がり、タイロッドがどんどん短くなってしまうのである。タイロッドが短いと何が困るかというと、サスストローク時のタイロッドの角度変化が大きくなり、その結果トーが大きく変わってしまいうところである。まぁ、「そんなに脚がちゃんとストロークしてるんですか」とか「そのトー変化がわかるくらい運転が上手なんですか」とか、そういった突っ込みはあると思うが、そんなことは関係なく、これは工作のための工作なのである、と開き直っておく。
現状の自作スライドラック

ということで早速スライドラックを外して改修を始めるが、上記の話を踏まえて今回はどうしたいのかというと、写真のようにいつものPOM板を切り出したブロックを使ってタイロッドにつながる腕の位置を中央に寄せようということである。
自作スライドラックの改修構想

この改修のためには、スライドラックを分解する必要があるため、このように一旦完全にバラバラにした。見ての通りたくさんのシムやスペーサ―、ワッシャで構成されており、スライドラック本体も穴だらけでいかにも素人工作であることがバレバレだが、まぁ事実そうなのでしょうがない。
自作スライドラックの分解

ここからは例によって現物合わせで、特に何か計算をするでもなく、だいたいこんなもんだろうと適当に加工を行ないながらなんとかスライドラックを完成させた。上の写真と見比べると、ハの字の角度が増えていることがわかると思う。また、今回はタイロッドの腕の部分を真鍮のネジスペーサ―で作ったため、手に持った時に若干重さを感じるようになったが、まぁ特に問題はないだろう。
改修した自作スライドラック
改修した自作スライドラック

これをシャシーに組み付け、タイロッドの長さを調整すれば完成で、タイロッドが長くなったことで、狙い通りサスストローク時のトー変化は小さくなった。また、タイロッドが付く腕の長さもいろいろ試行錯誤した結果、なんとかアッカーマンやタイロッドの干渉との妥協点を見つけることができた。ただし、タイロッドのターンバックルの長さが足りなくなってしまい、今はネジ山がほんの少ししかかかっていないため、これだけはあとで交換しておこう。
改修した自作スライドラックの取り付け

といったところで本日の作業は終了である。

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